譜読みをレッスンする。「音」を読む から「音楽を読む」へ(レッスンの友 2012年10月号にも、同じ
ひとつ、考えてみました。多くのレッスンの現場で、楽譜を読むときに「音」を読んで「音楽」を読んでいないから、このような事態になるのではないかということです。バッハがインベンションについて前文を記していますが、それは明らかに「音楽」を読み取ってそれを「実際の音」として表現することを要求しています。
多くの学習者が、譜読みというと「音の名前と鍵盤の場所」だけを「順番に羅列」し、フレーズ、ハーモニー、まとまり、展開といったものに気を、向けないように思われます。また教師側もそれでいいと思っているのでしょう。譜読みの段階で、先生が言うことと言えば「そこはレではなくてド」とか「ファはシャープでしょう!」とかいう絶叫(!!)だったりします。最初から耳が開かれていて、曲の流れやハーモニーに気を付けていれば、自然な流れを生徒も求め「そこはド」を弾くと思うし「ここはト長調の響き」だから「ファにシャープ」はつけるでしょう。
つまり「譜読みの段階」で「音」を読むのでなく「音楽」を読むことが重要なのです。ですから、レッスンの現場において教師が生徒に「はじめて対面する楽譜からどのように情報を取り込み、音にしていくのか」ということをレッスンする必要はあると思います。
必ずしも全部ではなくていいので、次にやる曲の最初のフレーズぐらいを、片手ずつ読ませて、両手にして弾かせて、調性や、フレーズの歌い方などを自分で見つけさせる。どこに着目すればそれが発見できるか・・・・・ほんの10分もあればできることです。
絶対やってはいけないのは、「先生が読んでそれを生徒にやらせること」です。そうではなく先生は「促す」「着目点を指摘する」役目に徹し、生徒が4小節でいいから「自分の力で音楽が読めた」と実感するように導けたらいいと思います。
2月21日に投降した①と②は、「譜読みの段階での方法」です。
ところで、バッハ自身のインベンションとシンフォニアへの前文です
『率直な手引き。・クラヴィーアの愛好者、特に学習熱心な者が(1)2つの声部をはっきりと弾けるようにするだけでなく、上達した時には(2)3つのオブリガート声部を正しく、満足のいくように処理することができるように。また、同時に優れたインヴェンション(楽想)を取得するにとどまらず、それをうまく発展させられるように。そしてとりわけ演奏時にあたっては、よく歌う奏法を身につけ、作曲を学ぶための基礎を養うように。』